茶の湯的 ・ 建築 庭園 町並み観賞録

 
 
 
 

旧岩崎家住宅② ~東京都台東区~

旧岩崎家住宅、後編です。今回は洋館二階と和館大広間、撞球室を見ていきます(2017年12月訪問)。

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洋館二階・客室。二階は3つの客室と集会室で構成されます。

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洋館二階・婦人客室。天井と壁紙をピンク色で統一した、明るい空間です。

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婦人客室には、一階の婦人客室と同様、イスラム風のデザインが見られます。

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洋館二階・南側客室。壁には金唐革紙が張られています。金唐革紙は、西洋の金唐革を和紙で模造した、日本固有の技術です。

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洋館二階・集会室。二階で最も広い部屋で、南面にはベランダへの出入口が付けられています。

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集会室の天井には、見事な中心飾りが見られます。

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二階ベランダ。列柱のデザインや板敷の床など、一階ベランダとは趣が異なっています。奥に見える建物は、旧岩崎邸和館の大部分を撤去して建てられた、最高裁判所司法研修所の旧庁舎です。

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大理石を用いた便所。明治期の住宅としては珍しい、水洗式便所です。

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洋館の南西には、和館の大広間が現存します。施工は、政財界人の邸宅を多く手掛けたとされる大工棟梁・大河喜十郎によります。

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大広間内部。かつて広大な面積を誇った和館は、現在では大広間を残すのみとなっています。

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大広間の床の間と付書院。床の間に描かれた富士は、明治日本画の巨匠と言われる橋本雅邦の作です。

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大広間の欄間は、岩崎家の紋「三階菱」をモチーフにしていると言われます。

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大広間廊下の引き戸にも、橋本雅邦作とされる板絵が見られます。

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大広間と洋館を繋ぐ渡り廊下。

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洋館東方には、撞球室があります。洋館と同じくコンドルによる設計ですが、洋館とは雰囲気が異なり、スイスの山小屋風の造りになっています。

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撞球室外壁はログハウス風の校倉造を基本としていますが、妻下部分は鱗型の板張になっています。

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撞球室内部。撞球室は地下通路で洋館と接続されています。

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洋館北部に現存する袖壁も、細かなレリーフやペディメントを設けるなど凝った造りになっています。

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旧岩崎家住宅は、終戦とともに連合国軍総司令部に接収されましたが、昭和28年(1953)に日本政府へ返還、平成15年(2003)には東京都に移管され、都立公園として一般公開されるに至りました。洋館、大広間、撞球室は国の重要文化財に指定されていますが、特に洋館は明治期の本格的な洋風建築として貴重な遺構と言えます。

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旧岩崎家住宅① ~東京都台東区~

東京都台東区にある旧岩崎家住宅は、三菱第3代社長・岩崎久彌の本邸として明治29年(1896)に建てられました。洋館と和館の一部が現存しており、見所が多いため二回に分けてご紹介します(2017年12月訪問)。

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旧岩崎家住宅は、迎賓館としての洋館と、生活空間としての和館から構成されます。和館は大部分が取り壊され、現在では大広間を残すのみとなっています。

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洋館玄関部分の塔屋。洋館は木造二階建てスレート葺、外壁は下見板張りで、設計は三菱お抱えのイギリス人建築家、ジョサイア・コンドルによります。

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洋館は17世紀前半のイギリスで流行した、ジャコビアン様式を基調としています。玄関上部の塔屋や、外壁の細かなレリーフのデザインは、ジャコビアン様式の特徴とされます。

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洋館東面。中央にベイ・ウィンドウがあり、一階にはサンルームが設けられています。

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南東方向から洋館を望む。南面は、コンドルが好んだとされる、各階にベランダを設けるコロニアル様式となっています。

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一階ベランダ。天井の菱形模様や列柱のデザインは、ジャコビアン様式の特徴とされます。

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玄関内部。

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玄関の欄間や窓には、ステンドグラスがはめ込まれています。

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玄関ホール。左手に進むと洋館中心部、奥に進むと和館に続きます。

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玄関ホールから廊下を進んだところにある、一階ホール。重厚なマントルピースには、黒大理石とヴィクトリアン・タイルが使用されています。

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一階・食堂。

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一階・客室。

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一階・婦人客室。天井に施されたシルクの刺繍が目を引きます。

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婦人客室のコーナー部分には、コンドルが好んだイスラム風デザインのアーチがつけられています。

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一階・書斎。三菱幹部との打合せなどに使用されたと言われます。

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明治後期に増築された、一階東面のサンルーム。

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ホールに設けられた階段。手前の列柱下部に彫刻が施されている点が、ジャコビアン様式の特徴とされます。

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後編へ続きます。

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旧松本家住宅(掛川市竹の丸) ~静岡県掛川市~

静岡県掛川市にある旧松本家住宅は、江戸時代から掛川で葛布問屋を営んでいた松本家の住宅として、明治36年(1903)に建てられた和風建築です。掛川城竹の丸址にあることから、現在は「掛川市竹の丸」として一般公開されています。5年程前に一度紹介していますが、昨秋再訪したため、改めて取り上げます(2017年9月訪問)。

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旧松本家住宅は、商売及び生活空間としての主屋(木造平屋建て)と、特別な客をもてなすための離れ(木造二階建て)、土蔵などから構成されます。離れはもともと平屋でしたが、大正9年(1920)に二階部分を増築しています。

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主屋南面に設けられた式台玄関。近年になって復元されたもので、武家屋敷のような格調高い造りになっています。

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主屋仏間(2013年10月撮影)。主屋は南側が見世、帳場、応接室などの公的な空間とし、北側は仏間、茶の間など私的な空間になっています。





主屋・台所。現在はフローリングが敷かれていますが、往時は土間でした。小屋組が見事で、梁は長いもので18メートルもあるといいます。

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主屋北西に続く離れ。二階南面は、東半分が和風の高欄、西半分が洋風の鉄製バルコニーという、ユニークな造りになっています。

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離れ一階の座敷。北側五畳分を一段高くし、上段の間としています。右手には「家人の間」が続きます。

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家人の間には小さな床の間が設けられています。地袋付きで、落し掛けには手斧削りを意匠として残しています。

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離れ二階・貴賓室。床の間のある書院造ですが、椅子坐で、南面にバルコニーを設け欄間にはステンドグラスを嵌め込むなど、和洋折衷の空間になっています。壁紙には葛布が張られています。

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貴賓室のステンドグラス。オウムがデザインされています。

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こちらは四十雀でしょうか。

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貴賓室の付書院。板欄間には鳳凰が意匠されています。

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貴賓室の床は寄木張りになっています。市松の美しい意匠です。

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貴賓室東面の板戸には、樹齢200年の杉の一枚板が使用されています。貴賓室の東側には、廊下を挟んで座敷が配置されています。

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離れ二階・座敷。数寄屋風の書院造で、桐材を多用していることから「桐の間」と呼ばれていたようです。





座敷の南東隅には床の間が設けられ、天井は屋久杉を使用した格天井になっています。

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座敷の東面は入側が通されています。

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座敷北側の水屋。

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座敷の襖には、桐の模様や桐を象った引手が見られます。

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松本家は、もともと掛川の中町で葛布問屋「松屋」を経営し、掛川藩の御用達として、苗字・帯刀を許される家柄でした。廃藩置県で旧掛川城竹の丸の地を取得し、当主・松本義一郎により住宅が建設されましたが、昭和11年(1936)に松本家の東京移住に伴い、土地と建物は掛川町(現・掛川市)に寄贈されました。長い間、市職員の厚生施設等に使用されていたため荒廃していましたが、平成19年からの修復工事により、往時の姿に復元されています。

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プロフィール

Hakka

Author:Hakka
関東近郊を中心に、古い町並みや建築(近代建築中心です)、日本庭園を訪ねています。どうぞよろしくお願いします。
※建築は基本的に内部公開されているものを取り上げています。
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