茶の湯的 ・ 建築 庭園 町並み観賞録

 
 
 
 

龍源院庭園 ~京都府京都市~

龍源院(りょうげんいん)は臨済宗大徳寺の塔頭寺院であり、大徳寺南派の本院です。方丈北庭に、室町時代作庭と推定される枯山水庭園「龍吟庭」が残されています。





東部よりから見た全景。庭園は平庭式の枯山水で、東西に長い長方形の空間に、塀際に平行して石組を配置しています。

龍源院庭園・全景




西部から見た全景。全庭に敷かれた杉苔は大海を、石組はそこに浮かぶ岩島の表現であるとも言われます。

龍源院庭園・全景




庭園の主景となる枯滝石組。三尊手法の抽象的な枯滝で、主石を強く傾斜させた、古風で鋭い手法です。

龍源院庭園・枯滝石組  



枯滝石組は、須弥山(しゅみせん)石を兼ねるとも言われ、手前には水分石も意匠されています。石組を覆うような刈込は後世に加えられたもので、このような抽象的な石組にはそぐわないものです。

龍源院庭園・枯滝石組




枯滝右前方、3石からなる石組。

IMG_3822_20190810143111d33.jpg




枯滝を含む、庭園東部の石組群。

龍源院庭園・東部石組




庭園西部の石組群。

龍源院庭園・西部石組 




庭園西端の石組。木の陰で見えづらいですが、こちらも中尊石を強く傾斜させた三尊石組になっています。

龍源院庭園・西部石組



南部から見た庭園と方丈(重要文化財)。方丈は永正年間(1504~1521)の建立とされ、庭園も同時期に、当院開山の東渓宗牧(とうけいそうぼく)により作庭されたものと推定されています。

龍源院・方丈と庭園



方丈と庫裡の間には、「東滴壺(とうてきこ)」と呼ばれる坪庭が築かれています。昭和33年(1958)、重森三玲の『日本庭園史図鑑』掲載の実測図を製作した鍋島岳生により作庭されたもので、「現代を代表する坪庭」と評価されています。

龍源院・東滴壺




方丈南庭「一枝坦(いっしだん)」。もとは樹齢700年の山茶花「楊貴妃」1本のみが植えられた簡素な庭でしたが、昭和55年(1980)に枯れたため、モダンな枯山水庭園が作庭されました。

龍源院・一枝坦




一枝坦の東部にある亀島。円形の苔地に2石のみを配した抽象表現です。

龍源院・一枝坦の亀島




一枝坦の西部にある鶴島。こちらは鋭い立石が用いられています。

龍源院・一枝坦の鶴島




一枝坦の蓬莱石組。2石のバランスが見事ですが、鋭さに欠ける印象です。

龍源院・一枝坦の蓬莱石組



龍源院は文亀2年(1502)、東渓宗牧を開山として、畠山義元、大友義長、大内義興らの守護大名により創建されました。方丈北庭はなかなかの渋さで通好みな庭かもしれませんが、枯滝石組の圧倒的な存在感に、室町時代の作庭における美的感覚の鋭さを感じずにはいられません。

龍源院・庫裡


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Comment
 2019.08.18 Sun 15:55  鏡花水月 #-
Hakka様、こんにちは!
『抽象!』
日本庭園の美を感じ取る大切なキーワードのように思います。
今のところ自然界を凝縮したテーマパーク的な回遊式池泉庭園が一番好きなのですが、そのくくりだけでは物足りなくなりつつあります。
旅行も簡単な現代では本物の渓谷や海に行った方がずっと良いですし。
こちらのブログで抽象的な美の楽しみを開いてくれましたし、石組に植物が蛇足と思えることも分かるようになってきつつあります。
年数をかけてもっともっと楽しみたいです。
素晴らしい庭園カタログだと思います。
いつもありがとうございます!
  [URL][Edit]
 2019.08.19 Mon 19:46  Hakka #-
鏡花水月さま

こんばんは。コメントありがとうございます。

嬉しいコメントを頂き、ありがとうございます。
抽象的であれば良い、という訳でもないとは思いますが、例えば鶴亀の石組でも、鶴とか亀は単なるモチーフでしかなく、それらを単に具象的に表現するだけでは芸術的価値は生まれないと思います。モチーフはモチーフでしかなく、そこからどれだけ鮮烈で美しいものを生み出せるか、というところで芸術的価値が生まれると思いますし、作品からそれを感じ取るのが観賞だと思っています。

植栽についても、庭園の重要な構成要素だとは思いますが、どうも現代では植栽や借景ばかりに庭園の価値が見出される傾向が強い気がして、それではちょっと貧しすぎると思うのです。

と、偉そうなことを書きましたが、私は学者でも何でもありませんし、まだまだ勉強も足りない身です。少しでも庭園観賞のお役に立てるよう、精進したいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。
Re: タイトルなし  [URL][Edit]






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関東近郊を中心に、古い町並みや建築(近代建築中心です)、日本庭園を訪ねています。どうぞよろしくお願いします。
※建築は基本的に内部公開されているものを取り上げています。
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